君がいる、それだけで色づいて映ったんだ
お姫様はお城から出なければよかったのに。
そんな言葉がふと浮かんだ。
トニセンの舞台、申し込んだのが全部落ちました。
南野陽子ちゃんの「楽園のDoor」の歌詞が頭の中をグルグルと回った。
”陽だまりの窓辺から 凍える街並み見下ろすの
淋しさも憎しみも ガラスの向こうの物語”
そう、数年前まで私は「お茶の間」という楽園にいた。そこでは私1人が岡田くんのファンだ。
岡田くんが恋愛する映画も、相手役が気に入らなければ見なければいい。それは今でもそうだけど、こちらが見ないと決めたらもう、情報は入ってこないからそんなに感情を揺さぶられることはない。
そう、他人によって感情を揺さぶられることがないんだ。1人で完結してる。
むしろお茶の間の方がワイドショーや週刊誌のゴシップが目や耳に入ってくるんじゃないかとお思いかもしれないが、単純な話見なきゃ済むことで、私の見なかったものは存在してないも同然なのでわざわざ傷付きに行かなくてもいい。
ま、たまに完全に油断してた場所で地雷を踏むように、全く普段興味のない人から「岡田くん結婚するんだってね」などと言われて心臓が止まる思いはするけど。
普段だいたいは、ママ友とかに「V6ファン」と言ってもみんなあんまりよく分からないから「へー、岡田くんカッコいいよね」で終わり。たまに「他に誰がいるんだっけ?」と聞かれるくらい(笑)
中にはSMAPや嵐のファンの人がいても、だいたいが知り合いや娘さんにチケット譲ってもらって1-2度コンサートに行ったか行かないかくらいの、つまり向こうもお茶の間に毛が生えたレベルだから、知識が曖昧で知ったかぶりをされて腹が立つくらいのものだった。
例えば「SPの主題歌は嵐が歌ってる」と思い込んでたり(笑)
そんな時は少しは腹が立つけど、周りにファンがいなくて寂しいとはあんまり思わなかった。
コンサートのDVDを観てても、ファンなんてそんなに目に入らない。「岡田」の団扇が多いなぁとか、あの子岡田くんとハイタッチする前にメガネ外したなとかすごい客観的に見てたから、「いいなぁ」とか「私もタッチしたいな」なんて思わなかった。
だって、そこにいる自分なんて想像もできなかったから。
人生の中で、それまで私は1度もジャニーズのコンサートへ行きたいと思ったことは無かった。
何故って、一番大きいのは「知らない」って事もあるんだろうけど、お茶の間で満足してる間は広いコンサート会場で数センチにしか見えない彼らを観るより、テレビでアップの彼らを観る方がお得だと思ってたんだ。
昔からのジャニーズの知識や既視感が邪魔をして、ジャニーズのコンサートはとにかくうるさいイメージしかなかった。アイドルが歌っててもファンがキャーキャー騒いでほとんど声が聴こえない、そんな3球コンサートや光GENJIのコンサート映像の印象が強かったせいだ。
あと、小っこいジュニアの子がいっぱい出てきて下手な踊りを見せられ視界を遮り 、肝心のアイドルが見えないとか、ファンサービスをされた時のファン同士の醜い争いとか、とにかく良くない印象しかなくて、あの団扇もすごく滑稽に見えていた。
でも近年のV6のコンサート映像を観て、まず驚いたのがジュニアが出なくなってたこと。
あと、ざっと眺めてもファンの年齢層が高そうだし落ち着いてる。ガツガツしてない感じ?
会場もドームとかだだっ広い所じゃないし豆粒にしか見えないって程でもなさそう。それに結構隅々までメンバーが走って来てくれてる。
ところで私は実はライブ等で一番嫌だなぁと思ってて、なるべくならやりたくない事の筆頭 が「曲に合わせて手拍子」なんだけど(笑)
それはまぁ、アーティストにやれと言われてやるならやるし…それが演出の一部になってる曲とかもあるからそういうのは構わないんだけど、中にはリズム感のない人もいるし、だんだんズレてくるし、リズム取るのが難しい曲だってある。
それならいっそ踊りたい。振りつけてくれたらちゃんとやるから〜と、他のミュージシャンのライブでもいつも思ってた。
そしたらジャニーズのコンサートでは手拍子ができないのに気付いたのよ。だって片手に団扇、片手にペンライト握ってるんだもん(笑)
そして踊る!(笑)「愛のメロディ」「グッデイ」とかファンが一緒に踊る曲もある!
そりゃいい、それならやりたい!(笑)
まあ、恐ろしいけど何度も何度も鬼のように繰り返し(「Ready?」コンは擦り切れるほど観た) 観てたらだんだん「どうしてあそこに私がいないんだろう?って気持ちになってくるもので。
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そんな感じでいつしか「私もコンサートに行きたい」と強く願うようになってきたのでした。
”そうね 世界中が他人事なら
傷つかずに過ごせるけど
心ごと生きていきたくて
楽園のDoorから …ひとり
冷ややかな階段を ざわめきの海へ降りてゆく
あこがれと 哀しみが ぶつかって もつれる街角”
さあ、「あこがれと 哀しみが ぶつかって もつれる街角」へ一歩足を踏み出してしまった。
そしていきなり先制パンチを食らったのが「セクバニコン名古屋飛ばし」。
うっそ、マジ?初めて行こうと決心したコンサートが名古屋でやらないって⁈どういうこと⁈
しかもファンクラブにも入ってなかった私は撃沈。そもそも私のためのチケットなぞ「ご用意できる訳がありません」状態。そこで改めて知るジャニーズのチケットファンクラブ独占状態。「一般販売」なんて申しわけ程度、いや多分あるように見せかけてるだけのまやかし。
とにかくファンクラブに入ってなきゃチケットなんて買わせてももらえないのね。
あ、でも「ゾロ」は買えた。ファンクラブに入ってなくても地元の劇場のサイトから割と良い席を買えた。
でもそれで本物の坂本くんを見てしまった。
映像でもCGでも幻でもなく、カーテンコールで両手で手を振るその人は、いつもお茶の間で見てた坂本くんだった。いやー、本当にいるんだ!存在してるんだ。
単純に感動した。
ミュージカルの内容ももちろんだけど、坂本くんが本物だったことに、より感動した。
てことは、他の5人も存在してるんだ。
不思議なことに、お茶の間では確かな存在感を誇ってた「私のV6」が、6分の1の本物を見てしまったことでその存在がとても儚く感じてきた。
他の5人も見たい、本物に会いたい。
当然の流れでそうなる。
そして私はついにファンクラブに入会した。
このへんの話は前にも書いたからそちらを見て頂くとして……
なんとなくファンクラブに入会することを渋ってた理由を書いておきます。
オトナ気ないとかそういうんじゃない。
ファンクラブに入会する適齢期というものがあるとしたら、たぶん適齢期と思われる時期にも迷ったことはある。(トシちゃんの頃)
そして結局入らなかった。
そもそも私は好きな人のファンクラブに入ること自体を躊躇うんだ。
だってファンクラブに入ったらどうなる?
私は「ただのファン」になってしまう。
…おいおい、なに当たり前のこと言ってるんだよ。
と、お思いでしょうがマジなんです。
女の子なんです。
女の子はみんな…とは言わないし、自分が女の子とは呼ばれない年齢になって久しいけど、みんな多かれ少なかれ自分のことを「特別なファン」だと思ってる…筈。
私はその他大勢のファンじゃない、私の「好き」はみんなの「好き」とは違う、私は「特別」彼のことが好き。
私は、特に本当の女の子の頃は、そういう痛い娘だった。
私には中学生の頃から大好きなミュージシャンがいるけど、金銭的な問題ではなくその人のライブに初めて行ったのは高校を卒業してからだったし、ファンクラブに入会したのなんて働き始めて数年してからだった。
初めて行ったコンサート会場では2階席で、客席一杯に埋め尽くされた人達を見てすごく寂しい気持ちになったのを今でも憶えている。
あの人のこと好きな人がこんなにいっぱいいるんだ。私はこんなに後ろの席で、遠くからあの人を見てるしかないただのファンなんだ。
教室にアルバムを持って行き友達に聴かせ、「結婚したい!」「大好き!」と豪語し、誰も呼ばない私だけの呼び方でその人を呼び、その人のことならみるくちゃんに聞けって言われるくらいになって、全てのアルバムの曲順を暗記して歌詞も見ないで歌えるほど毎日聴いてた私が……ここでは大勢のファンの中のたった一人。
しかもこんな遠く。
それが悲しくて、それから数年は意地でファンクラブに入るのを拒否してた。
ファンクラブに入るのを躊躇うのは、その記憶がトラウマになってたからだと思う。
きっと最近の子はもっとクールに「ファンの一員」としての自分を自覚してると思う。Twitterなんか見てると、アイドルというよりファンの人同士で繋がることに価値を求めてる気がする。仲間意識というか、連帯感?共感?どこかに所属してたい願望というか。
特にジャニーズは入会しないとデメリットしかないからね。
私みたいな一匹オオカミ的な人にはあんまりメリットも無いけど、ファン同士でチケット取り合ったり譲り合ったりできるもんね。いいよね。
で、実際に舞台やコンサートに足を運んでみてどうだったか…というとあの頃ほど淋しい気持ちにはならなかった。私だって伊達に経験を積んでない。ギリ10代だったあの時とは違ってだいぶ成長した女の子だし、事前の予習だってしてる。 覚悟も違う。
ただ、何ともないかというとそうでもなくて、むしろこの歳でこんなに感情が高揚するのかというくらい始まる前はドキドキワクワクウキウキしたし、その反動で終わった後の淋しさといったらなかった。
それと、やっぱり大勢のファンの人達を目の当たりにして大なり小なりショックを受けた、
まず、みんな若いね。
DVDで予習してた最近のコンサートだと、割合年齢層が高そうだったのに、なんか若返ってないか?
あとコンサートでは岡田団扇の多さに凹んだ。
岡田くんが近くに来た時の周りの黄色い声を聞いて、昔のトラウマが蘇って悲しくなった。
知ってはいたけど、こんなに岡田くんを好きな人がいっぱいいるんだなって。
中には最近ファンになった子もいるかもしれない。
他の誰かと掛け持ちでファンな子もいるかもしれない。
でもみんな「自分が一番岡田くんのこと好き」だと思ってるんだろうな。
思いの強さも、どれだけの期間好きでいたかも、顔にも団扇にも書いてない。私だってこの中で一番岡田くんを好きなのは私よ❗️と大声で言えるほどかといったら…多分違うんだろう。
そうして大勢の中に埋もれていく、私はただのファンの1人だ。
去年のアニバコンのあと、私の中には淋しい気持ちだけが沈殿していく。
なのに、あれから私はことごとくチケット戦に敗れている。惨敗。撃沈だ。
日程的に申し込んでない舞台もあるし、全部申し込んだわけではないけど。
中でもすごく観たかった坂本くんの「Murder for Tow」なんて落選がショックで、繰り返し観に行く人のツイートを読みながら「呪ってやる」と密かに呟いてた。
どうして人気のある舞台を1人で何度も観に行けるんだ?
1人でそんなに当てられるんだろうか?幾つ名義があるのかしら。そんなに譲ってくれる友達が多いのかしら?
それをよく「今回は前回と違って…」なんて平気でツイートできるんですかね⁉︎ ←めちゃ怒ってる(笑)
お金がたくさんあっても、会場に行く交通の便に不自由がなくても、私なら何度も観に行かない。行きたい気持ちは山々だけど、私は奥ゆかしい日本人だから少し気がひけるので遠慮する。
どんなに普段仲良くしてくれてるフォロワーさんでも、ライブレポが面白くてフォローしてる人でも、「何回観に行ってるんだよ!」と突っ込みたくなる。だんだん日を追うごとにイライラしてくる。
ついには呪いたくなる。
あーあ、こんな気持ちになりたくないんだ。
私だって人を呪わば穴二つって諺を知らないわけではない。
こんな気持ちでいるから私は誰にもチケットを譲ってもらえないし誘ってもらえないし、そもそも当たらないんだろうって……本当に落ち込んで反省する。
私ってこんなに嫌な女だったのね。
お茶の間にいたら知らなくて済んだ自分の嫌な面に気付く。
Twitterのフォロワーさんにも素直になれない。
こんな筈じゃなかった。
知りたくない事ばかり耳に入ってくる。
知らない方が良かったことも、知ってしまったから余計に苦しいことも全部入ってくる。
そりゃ、私がお茶の間にいた頃と今は状況が違う。もう全国放送の全員が出る番組はやってないし、細々と( 1年遅れで )続いてた 「アメジパ」だってもう地元の放送局は10月からは放送しないらしい。
あのままお茶の間にいたら、動くV6はほとんど見られない状態になってたと思う。
やっぱり、こんな苦しい思いをしてもV6の活動を全然知らないでいるよりはいくらかマシなんだと思う。
前述のミュージシャンのファンクラブについに入会したきっかけも、彼が全国を回るツアーみたいのをやらなくなって活動が関東に限られてきた頃だった。
やっぱり好きな人が今何をしてるのかは知りたい。
知ってしまってそれに行けない辛さも知ってしまったから、お城から出なければ良かったと後悔もするけど。
その舞台を終えて、その活動を通して、彼が彼たちが何を感じたのか、どう変化したのか 何を得て何を学んだのか、そういうのが伝わってくるのはやっぱり嬉しいんだ。
そこに私が立ちあえなかったのは悲しいけど……嬉しいんだ。
だから、せめて舞台はできる限りDVDにして欲しいし、公演数もできる限り増やして欲しい。
それとできる限り…1人で何度も足を運ぶ人は行けない人のことを考えて欲しい。良心があるなら。
それから、前にジャニヲタさんの事を書いたブログで「ファンが利己的になるのは仕方ない」と言ったけど、アイドルのことを本当に思うなら、彼を彼たちを狭い世界に閉じ込めてはいけない。
私は坂本くんの出るミュージカルを、本当のミュージカルファンの人にも観て欲しいし、剛くんの出る舞台を演劇好きな人たちにも観て欲しい。
「あさイチ」でイノッチのことをNHKのアナウンサーだと思ってたような人にも、コンサートでイノッチがどんなに素敵な声で歌うのか知って欲しいし、俳優の岡田くんしか知らない人にもアイドルの岡田くんを観て欲しい。
V6をもっと自慢したい。可能性を広げたいんだ。
なんか最近特にだけど、ジャニーズの人が出る舞台はチケットが取りにくくて大変だって聞く。丸山くんの出た「マクベス」だって、その舞台を純粋に観たいシェイクスピア好きの人や演出家のファンの人や他の出演者のファンがチケットを取れないので観るのを諦めてるって話を伝え聞いた。
「これだからジャニーズは」って陰では言われてるんだろうな。
「客が呼べるから、主役に抜擢される」なんて、実力じゃないみたいに言われるのは誰にとっても不幸なこと。
もっと広い世界で勝負して欲しい。
話は大きく逸れたけど(笑)
”青空が まぶしくて
私はこんなに小さくて”
私はただのファンで、チケットも取れなくて、譲ってももらえなくて、大好きなV6の活動を指をくわえて報告を待ってるだけしかできない。
それを本当に実感した1年でした。
そう、アニバコンに行ったあの日からもう1年が経ったんだ。あれから1枚も当たってない。
きっと、私の日頃の行いが悪いせいだろう。
とTwitterで呟いたら、
「そんなことは決してない、転売ヤーがたっくさんチケットを転売してるのに、そんなことは思っちゃいけない」って慰めてくれたフォロワーさんがいた。数人が励ましてくれた。
なんか、他のフォロワーさんは「触らぬ神に祟りなし」とばかりに、いつもは絡んでくる人も寄り付きもしないのに、そういう時に声をかけてくれるフォロワーさんを本当の意味で大切にしようと思った。
そう、どんな世界にも裏表があって、そんな中にも優しい人や良い人はいる。
私は喉から手が出るほど欲しいチケットも絶対に転売ヤーからは買わない。
チケツイという「譲ってください」ツイートもしないと決めてる。
名古屋から関東関西に行くのはフットワークが軽くないと大変なことで、まして子供のいるシングルマザーには「じゃ、チケット手に入ったから明日は東京行ってくる」なんてなかなかできることではない。
しかも我が家は子供たちもVクラだから、ママが1人で行くわけにもいかない。
そういう訳で、こっちがいろいろ条件付きでしかチケットを求めることができず、簡単には譲ってくれる人とマッチしないだろうし、譲ってもらう立場でごたごた言うこと自体が失礼だもの。
”新しい靴は少し ぎこちなくて
かすかな痛み ひきずるけど
一歩ずつ 履き慣らしてくわ
あなたに近くなる ために”
そう、いつも「来られないファン」のことまで考えてくれる健ちゃんや、どんな時にも一人一人のファンの顔を見て手を振ってくれる長野くんみたいに、私ももっと優しくなりたい。
チケットが手に入った人に本当に心から「よかったね」って言える人になりたい。
前述のミュージシャンのコンサート、最初は2階席だった私も、少しずつ前の方の席を取れるようになって…いつしか会場もホールじゃなくてライブハウスとかでやるようになったら、今では一番前で汗が降ってくるくらいのかぶりつきで観られるくらいになりました。それどころか、ライブ後に普通に話したり、一時期は毎日のようにファンメールを送り続けてたら(日記か⁉︎) 名前を憶えてもらえるくらいになりました。2階席からずいぶん出世した(笑)
これも長いことずっと好きでいたから。
2階席で遠くからステージを観てたあの時の私に教えてあげたい。ずっと信じて好きでいたらいいんだよって。
いつか、V6にも少しずつ近づきたいな。
お城から出てきて本当に良かったと思える日が、また来ますように。
”憂鬱な毎日も 苦手な人混みさえも
君がいる それだけで色づいて映った”
(V6 Beautiful World より)
これからも、陽だまりの中に戻りたいと後悔する日もあるだろうけど。雨も降ればいつかは虹も出る、それが見られるのも世界は広いと知ったからなんだよね。